ヒマラヤ山脈の内陸に佇むブータンは人口約77万人の小国で、数々の村々が集まったように構成される国です。
ブータンといえば経済的な豊かさを図るGDP(国内総生産)に対し、GNH(国民総幸福度)の概念を掲げ、伝統文化や自然環境の保護を唱えていることでも有名で、日本では「幸福の国」としても有名ですね。
そんなブータンで暮らす人々の特徴(性格や外見ほか、恋愛観など)を紹介します。一つの傾向ではありますが、ブータン人の国民性として参考にしてみてください。
ブータンとはどんな国?ブータンといえば?
幸福の国、世界一幸せな国というイメージで、一躍広く知られるようになったブータン。実際にはどんな国なのか。まずはブータン人を形成するブータンという国について理解を深めていきましょう。
国土が小さく、人口が少ない
ブータン王国は、面積が4万k㎡に欠くほどの大きさで、これはおおよそ日本の九州くらいの大きさにあたります。また、人口は約77万人で、これは高知県くらいの人数です。
標高1200m未満から3000m以上の土地と、大きな高低差があり、この標高差に由来して、亜熱帯気候、モンスーン気候、ツンドラ気候と、非常に小さい国ながら国内で気候に差があるのも、ブータンの特徴といえます。
国を有名にした「国民総幸福度」
国王が表した、発展のゴールは国民の繁栄と幸福であるという考え方が元になって、ブータン王国を一躍有名な国へと押し上げた国民総幸福度。
一人ひとりが幸福であれば、それはやがて国の発展につながるという考え方で、実際に聞き取り調査によれば、ブータンでは多くの人が、「幸せですか」という問いに対し、「はい」と答えるようです。
この考え方を基にブータンでは手厚い福祉が提供され、国民は医療や教育を無料で受けています。
手つかずの自然
ブータンには多くの手つかずの自然があり、そこには絶滅危惧種も生存しています。国土の約70%は森林で、国が指定する保護区には4つの国立公園もあります。絶滅危惧種や珍しい植物が多く見られるこれらの保護区は、世界的にも価値の高いものです。
動物も多種多様で、これまで生態が謎と言われてきたブータンの国獣「ターキン」や、ヤク、マーモット、猿の一種「ゴールデンラングール」など、非常に珍しい種類を目にすることができます。
伝統文化
男性は「ゴ」、女性は「キラ」と呼ばれる伝統衣装をまとうことが義務づけられており、ブータンでは多くの人が日常的にこの服装で生活しています。
車文化でありながらも、街中の伝統的な景観を損なわないために、信号機を設営しないなど、伝統文化や風景をとても大事にしている様子が伝わってきます。
「幸福」というイメージ以外あまり知られていないブータンですが、豊かな自然や伝統文化など、どれをとっても魅力にあふれた国といえます。
ブータン人の性格
「なんとなく幸せそう」そんなイメージだけがあって、ブータン人の性格そのものを知らない人も多いのではないでしょうか。幸せの国で暮らすブータン人の性格的な傾向について見ていきましょう。
親切が当たり前
一般的にブータン人を、親切で善人が多いという人が多いです。
人に親切にするのが当たり前で、日本人から見れば立派な親切でも、さほどわざわざ行うことと思わずに自然に親切にしてくれます。
逆に言えば、親切にされることも当たり前で、自分から見て親切にしたと思えることに対しても、それほど感謝されない面もあります。それほどに、親切にする、されるということが根づいていて当たり前であるということです。
時間にルーズ
基本的に、日本を含め世界でも数少ない国の人だけが時間に厳しく、それ以外の国では多くの人が時間にルーズですが、ブータン人もその例にもれません。
約束した時間の2~3時間は遅れるのが当たり前で、それに対して怒られると不思議というくらいの感覚があるようです。これも裏を返せば、自分が待たされても怒らないということであり、発展途上にある国に多く見られる、ゆったりとした人格がここでも見られます。
貸し借りにルーズ
貸したお金が返ってこない、借りたお金を返さないといったことがよく見られ、それも故意ではなくて忘れてしまっているだけということもあります。反対に言えば、自分が貸したものが返ってこなくても平気ということでもあります。
借りた物に対しても、借りたから大切に使うという感覚はあまりなく、手荒に扱って壊してしまったり、修理のつもりで余計に悪化させてしまったりということも、時には見られるようです。
仕事よりも家庭と信仰が優先
ブータン人にとって、仕事はそれほど重要ではありません。高級官僚など一部の人を除いて、一般のブータン人は仕事よりも家族、ついで信仰を大切とみなしています。
たとえば、家族の誰かが病気になる、親族が亡くなるなどの理由で仕事を何日も休んでも、非難されることはありません。また、お寺に行くという理由で急に職場からいなくなっても、誰も怒りません。
また仕事上での失敗も、起きたことはしょうがない、できなかったのだから仕方ないと割り切って受け入れることも多く、仕事人間や責任といった言葉からは遠くにいます。
ブータンはこれから発展していく途上の国で、それゆえにもブータン人は全体的にゆったりしていて、細かいことを気にしない、おおらかな性格の持ち主が多いです。
必ずしも全員に当てはまることではありませんが一つの傾向として参考にしてください。
ブータン人の恋愛観・結婚観
ブータン人の結婚観は、特に日本人から見るとかなり独特です。
一夫多妻、一妻多夫
古くからブータンでは、一夫多妻、またその反対の一妻多夫制が認められてきました。人によっては3人、4人と妻がいることも珍しくなく、また後述するように、特に田舎の農村地域では、ひとりの女性に複数の夫というパターンもあります。
ただし、最近では一夫一婦制が一般的になってきています。特に、現国王が迎えた妻について、彼女だけが自分の妻になると公言したこと、また、インターネットなどの普及により、他国の一夫一婦制について知られるようになってきたことが影響しているようです。
また、ひとりの男性が、妻とその姉妹全員、もしくは一部の何人かと結婚することもあります。
簡単に始まり簡単に終わる結婚
ブータンでは結婚に際して、結婚式や披露宴のような儀式的なことが行われず、同棲から周囲に二人の生活が認められることによって、なし崩しに結婚が始まります。婚姻届に当たるものはあるものの、あまり重要視されていません。
このようにして簡単に結婚が始まるため、終わるときも簡単です。気に入らなくなれば関係を解消する、離婚して再婚するなど、結婚という関係をあまり重いものとして捉えていません。
婿入り文化
これは特に農村地域に見られます。農村地域では家と土地を女性が相続し、加えて家畜などの所有権も女性にあるため、男性がその家に婿入り・婿養子する文化があります。
広い土地や多くの家畜を持つ家では、ひとりの婿だけでは労働力が足りず、前述のように一妻多夫という形になり、複数の婿を迎えることがあります。
ラテン気質の恋愛
ブータン人は、ラテン気質とも言える恋愛をします。
一夫多妻が認められていることもあり、自分や相手が交際中でもアプローチしたり、さらには既婚者に対してでもアプローチしたりします。複数の人と交際することもあります。
交際しているときから結婚に至るまで、複数の相手がいることもあり得るのがブータンの恋愛観、結婚観の特徴です。
日本の文化からすると少し浮気性に見えてしまいますが、現在ではこの見方も少しずつ変わってきていることは、覚えておきたい点です。
ブータン人の見た目とスタイル
ブータン人はアジア圏の中でもとりわけ、顔立ちが日本人に似ていると言われています。ブータン人の顔の特徴や日本人の顔とどのような共通点・相違点があるのかを見ていきましょう。
顔立ちは日本人に似ている
彫りが浅く、目がさほど大きくない人が多いので、パッと見て日本人に似ている印象を受けます。
ただ、日本人の中にも目の大きな人やエキゾチックな顔立ちをしている人がいるように、ブータン人の中にも、インド・ネパール系のような、彫りが深めで、二重の大きな目をした人もいます。
どちらかというと女性より男性の方が日本人に似ている印象です。女性は化粧や衣装の影響もあって、彫りが深く見える人が多いです。
肌が浅黒く、髪も黒い
標高が高いところに住む人が多いせいか、ブータン人には肌が浅黒い人が多いです。日本人で言うと、沖縄県民に近いと言えるかもしれません。色白の人は少ないです。
また、国王家を始め、ほとんどの人が黒髪に黒い瞳をしています。まれに染めている人もいますが、多くの人はしっかりとした黒い髪です。
男性、女性の魅力がはっきりしている
ブータンでは、近年日本でもてはやされているような中性的な外見の人が少ないです。男性はさっぱりとしたショートヘア、女性は豊かな長い黒髪と、性別の差がはっきりと見て取れる外見です。
伝統衣装「ゴ」、「キラ」も、それぞれの魅力を十分に引き出すのを手伝っているようで、男性は頼りがいのありそうな印象、女性はかわいらしく美しい印象です。
体格はがっしりした人が多い
これは太っているという意味ではなく、骨太の印象という意味です。それでも男性にはやや大きめのお腹の人が多く、着物に近い見た目の「ゴ」がよく似合います。肩幅もがっしりしていて、それも頼りがいのありそうな印象に一役買っています。
女性は、近年の若い日本人女性の折れてしまいそうに華奢な印象はなく、良い意味での骨太さがあります。スレンダーで、姿勢のきれいな人が多い印象です。
脂肪質の太った人は、男性にも女性にもあまり多くはいません。
顔立ちの系統は日本人と似ているとはいえ、男性・女性本来の体型や美しさの見られる人が多く、見た目としては日本人よりも健康そうにさえ見えます。
ブータン人やブータンハーフの有名人・芸能人
個人としてあまり知る機会のないブータン人を、有名人を参考に知ることができます。日本ではあまり知られていませんが、どんなブータン人がいるのか、ブータン人の有名人や芸能人を紹介します。
ブータン人の外見や性格などの参考にしてみると面白いかと思います。
ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク
言わずと知れた、現代のブータンブームを巻き起こした第5代国王、ケサル国王です。
優しそうに笑う二重の瞳に、しっかりしたあごを持つケサル国王は、ブータン人には珍しくやや色白です。2006年からブータン国王として在位中です。
まだ40歳前なこと、そして国民を家族とみなして幸せを追求しようとする姿勢、そして今の妻を唯一として明言したことから、国民にも人気の高い男性です。
ジグミ・シンゲ・ワンチュク
ケサル国王の父、ジグミ第4代国王です。国王の権限を徐々に縮小して民主化政策を進めた、開明的な国王として知られています。
やや張った額に、意志の強そうな眉、薄い唇で、武士時代の日本人に近い顔立ちです。少し浅黒い肌をしています。
ちなみにジグミ国王は1979年に4人姉妹と同時に結婚式を挙げた、一夫多妻の人でした。
ジェツン・ペマ・ワンチュク
ケサル現ブータン国王の妻で、10歳年下のジェツン・ペマは、女優のように美人なことで知られています。
額や頬はあまり張っていなく、目元は涼やかでパッチリとした二重です。薄い唇とスッとした鼻のバランスが良く、王室に連なる名家の出身である母親を持つのも納得できます。
ブータンの公用語であるゾンカ語の他に、英語、ヒンディー語に堪能な才女です。
キンレイ・リグジン・ドルジ
ブータンの若者の間で人気の俳優、キンレイは、いわゆる塩顔タイプのです。
写真でよく見かける浅黒い、いかにも男らしいブータン男性とは一画をなしているように見えます。どちらかというと色白で、細めの涼しげな目と、やや厚めの唇で、いかにもアジア俳優といった雰囲気です。
小国ブータンでは、やはり王家が一番有名です。これからどんどん俳優やアーティストも進出してくると思われるので都度チェックしてみることをおすすめします。
ブータン人と出会う方法とコツ
幸福の国としても知られるブータンはそのイメージに違わず親切な人が多く、そして親日家も多く、私たち日本人とは比較的友好な関係を築きやすい国、人たちと言えるかもしれません。
恋愛については一夫多妻や一妻多夫が残りますが、近年は現国王の取った一夫一妻が普及しつつあり、日本の文化にも近くなってきているかもしれません。
文化の違い、習慣の違いを受け入れて知り合う必要はありますが、ブータンやそこで暮らすブータン人に興味を持った方(持っている方)は友達や恋人など男女の出会いも含め、ブータン人との出会いの機会を作ってみるのも良いかもしれません。
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