「出身地」と「国籍」、はたまた「出生地」。日本で産まれ育ち、日本で生活している人にとってはそれぞれの違いをあまり深く考えたことがなく、同じようなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
ここでは、出身地と国籍の違いやどう使い分けるのか、また、合わせて出生地についても紹介します。
日本のように大多数の人が出身地も国籍も同じというケースが世界で当てはまるわけではありません。出会った外国人の出身地と国籍が違う場合もあるでしょう。
そんなときに違いが理解できるようにそれぞれの違いや使い分けについて理解を深めておきましょう。単純にそれぞれの違いが気になる人もぜひ参考にしてみてください。
出身地と国籍と出生地の違い
出身地と国籍、そして出生地には大きな違いがあります。
日本では基本的に、出身地は育った場所のことを指し、国籍は生まれた国のことを指します。
世界でもおおよそ同じように使い分けますが、厳密なことを言えば、国によってそれぞれ少し違いがあります。
出身地とは
出身地とは「生まれ育った場所」や「ふるさと」のことを指します。
日本では産まれてから15歳になるまで最も長く住んでいた場所と、国土交通省が定義しています。
「なぜ国土交通省?」と思われるかもしれません。それはその通りで、国土交通省に出す書類に出身地を記入する必要があって、そのために決められた物だからです。
つまり、出身地に厳密な決まりはありません。
細かく言えば、人格が形成されたり、自分に最も影響を与えた場所などをふるさとと呼ぶのが一般的ですが、日本の中でも出身地に対する考え方は様々です。
というのも、出身地と言っても答える人によって違い、「北海道」と答える人もいれば「北海道○○市」と答える人もいて、出身地=県名と捉えている人もいれば、出身地=市町村名までと捉えている人もいます。
市町村名まで答える人は、出身地の意味合いの一つである「育った土地」という認識をしていることも多いようです。
同じように外国人も日本人のような考え方、捉え方をしている人が多いですが、やはり地域によっては少し出身地の意味合いを違うように捉えている場合もあります。
日本でも全ての人が言葉の意味を同じように捉えているわけではないように、外国人も人それぞれ言葉の捉え方や考え方は様々ということです。
外国の場合は、例えば「アメリカのカリフォルニア」と答える人もいれば「アメリカ」、「カリフォルニア」と州名だけ答える人もいます。
日本人からすると外国人がザックリと「アメリカ」と答えたら、単純に「アメリカ育ちなんだ」と捉える方も多いかもしれませんね。
つまり、出身地を聞いて、国名や地域名が出たら「この人はその国、もしくはその地域で育った」とその人に合わせて考えるとよいでしょう。
国籍とは
国籍とは、出身地とは違い国ごとに明確な法律が存在します。
出身地は育った場所を指し、生まれた場所ではないこともありますが、国籍は生まれた国のことを指し、変更をしない限り生涯ずっとその国籍で生きていきます。
厳密な国籍の決まりは、ある国の国民であると言う身分・資格ということになりますが、日本では原則として「出生によって生じる」とされています。
つまり、日本で産まれたら必然的に「日本国籍」になるということです。
外国も基本的に日本と同じように「出生により国籍が生じる」国がほとんどだとは思いますが、もしかすると国によっては国籍への定義が異なる場合もあり、一概に同じとは言えません。
その理由には、日本で扱われている戸籍という仕組みを使っているのは世界的に見れば非常に少数なこと、日本では認められていない二重国籍が認められている国があること、国籍を取得することが簡単な国や難しい国など様々な場合があるからです。
他にも、「永住権」と「国籍」の関係などもあり複雑です。
複雑で細かくは違いますが、やはりほとんどの国の人に当てはまる「産まれた国=国籍」が基本だと考えておくとよいですね。
日本で生まれ育ち、日本に住み続けている方にはやはりあまり馴染みがないのが「国籍」ですが、海外に行く際やパスポートを取得する際など、国籍は大いに関係してくる事柄になります。
また、在日外国人にとっては、選挙権のあるなし、役所関連への就職ができるできないなどがあるため身近なことになります。
他にも、外国人と結婚したら国籍がその相手の国籍になることや、逆に旧国籍のまま置いておくことを選べる場合もあります。
国や国籍、手続き、法律の違いによってそれぞれ異なるので、もし外国人と結婚するといったことになった場合は、よく確認しておく必要があります。
「どこの国籍だとまずい」といったことはほとんどありませんが、特に結婚して国籍が変わったばかりの人などはトラブルに発展しやすいかもしれませんね。
しかし、外国の中には国籍が違っても生活に支障がない国もありますし、例えばあなたが日本国籍であれば、そのまま移住し、そこで生活をしても何の問題もない場合もあります。
いずれにしても、国籍というのは「自分が何人である」という証明なので、国籍についての知識をきちんと持っておくことは、その国の国民として大切なことなのかもしれませんね。
出生地とは
出生地は、出身地と国籍とはまた少し違った意味合いを持ちます。
具体的には、「自分が生まれた土地」を指し、出身地や国籍よりもさらに詳細なものになります。
その理由は、出生地に関しては戸籍謄本に記載することが義務付けられているため、市町村まで正確に記す必要があるからです。
つまり、出生地は生まれた産婦人科、もしくは自宅の住所が記載され、「○○県○○市○○町○-○」といったように詳細な住所が記されます。
また、あまりないケースですが、病院への移動中に生まれてしまった場合は、その場所が「出生地」とされるので、人が生まれたら14日以内に役所にその住所を記して提出する必要があります。
ただし、これらの手続きが必要なのは日本での話ですし、そもそも戸籍制度自体が存在するのは日本を含め、世界中で3ヶ国だけと言われています。
戸籍とは親族を基準にしたもので、海外の多くは個人を基準とした登録方法が多いようです。「○○県○○市○○町○-○」といった詳細を戸籍とは違った形式で管理しています。
もしかしたら日本人があまり出生地を気にしていないように、外国人もあまり気にしない人が多いかもしれませんね。
出身地、国籍、出生地、すべて違う人もいる?
出身地、国籍、出生地の具体的な意味を紹介してきましたが、これらが全部違う人はいるのか?結論から言うと、「いる」ということになります。
その理由は、紹介してきた通り全ての言葉の意味が異なるからです。
例えば、日本の大阪で生まれ、その後東京に引っ越した後、すぐにアメリカに移住して大人になるまで育った場合は、出生地は大阪の住所、出身地はアメリカ、国籍は日本となります。
また、外国人の場合でも出身地、国籍、出生地が全て違う、もしくはどれかが違うという場合も決して珍しくありません。
例えば、陸続きのヨーロッパや、州が複数あるアメリカなどでは出身地と出生地が違うことはよくあることです。
確かに、資本主義の国からすれば、田舎や働き口が乏しい場所で産まれたら、若いうちは栄えている場所に移り住みたいと考えるのは普通のことかもしれませんね。
それぞれの言葉が似たような意味を持ち、混乱する方も多いと思いますが、各々の意味はまったく異なりますし、例に挙げたように3つ全てが異なる人も少なくありません。
例えば、出生地と出身地の違いで言うと、病院で生まれた場合、出生地と出身地は必ず違うことが考えられます。
なぜなら、出生地はその病院の住所で、出身地はその病院とは違う県や市であることも多いからです。特に、里帰り出産をした場合などは、赤ちゃんの出生地と出身地は全く異なるのが普通です。
このように、これら出身地、国籍、出生地全て、もしくはどれかが違う人は、日本人に限らず外国人にも多くいるということになりますね。
もし外国人と友達になりたいと思ったら、聞くべき順位としては「国籍」「出身地」「出生地」でしょう。というのも、出生地を聞いても今どこに住んでいるのかわからないし、国籍も出生地を聞いただけではわからないことも多いからです。
外国人と友達になる場合は、やはり相手が何人か、どこで育ったのかということが気になることもあると思うので、もし聞くのであればこのような順序で聞くとコミュニケーションをスムーズに取ることができるかもしれませんね。
まとめ
出身地、国籍、出生地という3つの言葉は、どれも似通った意味で「違いがわからない」という方も多かったのではないでしょうか。
ここ数年で、日本にもたくさんの外国人が入国し、移住する機会が増えました。逆に、日本人が外国人と結婚し、国籍が変わるといった事実も決して珍しいことではなくなってきています。
しかし、現実的に考えると、あまり出身地、国籍、出生地と使い分けている人はいませんし、日常生活を送っている限りでもあまり頻繁に必要になることもありません。
特に日本国内にいると必然的に日本国籍であり、出身地を問われることも少ないため、違いがわかりにくく、考えたことすらない人も多いのではないでしょうか。
日本人の場合、出身地や国籍はわかっても、出生地はわからないという方も少なくないのが現状です。
その一方で、日本で暮らしている外国人にとっては選挙権や法的手続きを通じて、これらの言葉の意味を、日本人よりも身近に感じていることでしょう。
私たち日本人でも外国人と触れ合う機会があれば、必然的に違う国の人間同士なので、出身地や国籍の話にはなりやすいですよね。
そういった時にスムーズに会話ができるように、今一度出身地、国籍、出生地についてきちんと確認しておくのも良いかもしれませんね。
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